まずはこの曲を聴きながらどうぞ

紳士服のオーダーシステムは、自分に合ったオリジナルの服を手に入れることができるため、ファッションを意識した男性たちから人気がありる。だけど、フルオーダー、セミオーダー、イージーオーダー、メイド・トゥ・メジャーなど、オーダーシステムの種類の呼び方が多く、初めての方じゃなくても分かり難く、正直ややっこしいと思う。

特に最近では自身の店を「ビスポーク」と呼び、誤解を招いているブランドさんも多々ある。

本記事では、紳士服のオーダーシステムについて、基礎知識を出来るだけ分かりやすく解説したいと思う。それぞれのオーダーシステムの特徴や利点、注意点についてご紹介します。

紳士服のオーダーシステムを理解することで、自分に合ったオリジナルの服を手に入れるためのヒントを得られるかもしれないので、ぜひ、最後までお読みいただき、オーダーする際に役立つ情報を手に入れてほしい。

紳士服のオーダーシステムには、大きく分けて以下の4つの種類がある

  • 既製服とは、あらかじめ規格化されたサイズやデザインで、大量生産された衣服のことを指す。生産コストが安く、大量生産されるため、比較的安価に販売されることが多く、一般的な衣料品店やオンラインショップで手軽に購入することができる。既製服は、規格化されたサイズがあるため、試着することで自分に合ったサイズを選ぶことができる。また、多くの場合、トレンドに合わせたデザインが多く揃っており、様々な用途に合わせて選ぶことができる。一方で、既製服は、一般的なサイズに合わせて作られているため、自分にぴったりのサイズやフィット感を得ることができない場合があるかもしれない。また、生地や縫製の品質にばらつきがあることもある。既製服は、手軽に手に入れることができるため、カジュアルな場面や、ファッションにそれほどこだわりがない方にはおすすめかもしれない。これと同じように使われる「オフ・ザ・ラック(Off the rack)」という言葉がある。これは、店頭でラックに掛かっているアイテムを外すという意味を持ち、文字通り、店頭商品の購入という意味なので、ほぼ「既製品」と同じ意味合い。あえて違いを述べるなら、「既製品」は倉庫で眠っていても「既製品」、「オフ・ザ・ラック」は、その「既製品」が店頭に並んで初めて、そう呼ばれることになる。

  • メイド・トゥ・オーダー (Made to Order) は、英語で「注文に応じて作られる」という意味だ。衣服においては、お客様のサイズや好みに合わせて、オリジナルの衣服を製作するオーダーメイドの一種と言われる。

    メイド・トゥ・オーダーの衣服は、既製服やオフ・ザ・ラックの衣服とは異なり、お客様の好みの生地で店頭に出ている商品と同じデザインとサイズで商品を作るというもの。ブランドやお店によっては、既にこのサービス用に生地を用意しているところもある。僕が昔、ニューヨークの「ヒッキーフリーマン」で働いていた時は、そのシーズンで展開しているスーツやシャツの生地に限っては、生地在庫がある限り、どのサイズ・スタイルでオーダーしても店頭の既製服と同じ値段で対応していた。例えば、お客様のサイズは標準サイズで、既製品サイズを調整する必要がない場合でも、あるスーツは2ボタンで作られていて、ご本人様は3ボタンが好みだったりする場合、好みの生地でお好みのスタイルに、既成サイズで作ればアップチャージはないという、今考えるとかなり良心的なサービスだったなと思う。その際、どうせ1から作るのであれば、袖丈もパンツの裾丈も一緒に仕上げてしまおうというものだった。3週間後にお直しが必要ない、好みのスーツが出来上がるというわけだ。


  • パターンオーダー (Pattern Order) は、既製服やオフ・ザ・ラックの衣服よりも、よりオーダーメイドに近い形で、お客様のサイズや好みに合わせた衣服を製作する方法である。

    パターンオーダーは、あらかじめ用意されたパターン(製図)からお客様の身体のサイズに合わせて製作されるため、既製品よりはより身体にフィットするイメージだが、体型補正が無いと言われる。

    基本、縦横のサイズくらいしか調整の対応が出来ないので、自身の身体が展開サイズにハマるものの、袖丈や着丈が短かったり長かったりという問題を解消してくれる。それと、ジャケットのウエスト廻りだったり、パンツのシルエットなどを、細身にしたりゆったり目にしたりといった調整が可能。プラス、好みの表生地や裏地が選べたり、2ボタンや3ボタン、ノータックや1タックパンツといったデザインの選択肢があり、有料オプションでデザインを変えることも可能だったりする。ブランドやお店によって、どこまでをパターンオーダー (Pattern Order) と呼ぶかは、正直微妙。調整箇所や限度に関しては、そのブランドやお店によって、対応が違う。


  • メイド・トゥ・メジャー (Made to Measure) は、英語で「測定によって作られる」という意味であり、衣服においては、あらかじめ用意されたパターンの中から、お客様の身体のサイズに合わせて、調整して製作するオーダーメイドの一種であると言われる。

    このサービスも、基本的には、そのブランドやお店によって、展開しているパターン(製図)が決まっていて、そのパターンを元にサイズ調整をするサービスである。前項のパターンオーダーとの違いは、体型補正がもう少し細かくできるところかもしれない。基本、パターンオーダーで出来るサイズ調整は縦横のみに対して、メイド・トゥ・メジャーでは姿勢に関する体型補正が限度内で対応可能という点だろう。例えば、撫で肩や怒り肩、背の丸まりや反り、平尻や出尻を調整したりなどといった、細かい体型補正が出来るということだ。しかし、このサービスの基準も残念ながら一概に統一されている訳ではなく、そのブランドやお店によって定義が違うので、予めどのようなサービスなのかは確認しておく必要があるだろう。「イージーオーダー」と呼ばれるサービスもこれに似た意味合い、もしくは同じ意味合いで使われることが多い。


  • ビスポーク (Bespoke) は、英語で「注文に応じて作られた」という意味を持ち、衣服においては、お客様のサイズや希望に合わせて1からデザイン・製作される、最高級のオーダーメイドの一種である。前項のサービスより高度な手仕事と熟練した技術が必要とされるため、非常に高価であることが多い。しかし、一度着用すると、お客様の身体に完璧にフィットし、最高級の素材と繊細な手仕事による仕上がりを堪能できると言われるが、正直それもブランドやお店次第。しかし、基本は生地やデザインが決まっていないので、お客様の好みの生地やデザインで、1からパターン(型紙)を起こし、何度かの仮縫いと試着を経て商品ができる為、時間と費用が掛かる。熟練の職人による手作業で、お客様の身体に合わせたパターンが作られ、一針一針手縫いされるため、フィット感やデザインにおいて、非常に高いクオリティーが求められる。ビスポークは、最高級の衣服を手に入れたい方、また、自分自身の個性やスタイルに合わせた完全なオリジナルの衣服を手に入れたい方におすすめだと言われるが、正直、残念ながらこれも定かでは無い。人間はロボットのように動けない。同じ物が作られることはない。同じ職人に同じものを頼んでも、毎回フィット感が違うのが事実だ。その為の複数の仮縫や試着だが、それでも出来上がりが違うという事実は、予め理解しておいた方が良いだろう。このサービスと同じか、似たイメージで使われているのが、「フルオーダー」とか「セミオーダー」とかだろう。ブランドやお店によって定義が違うので、予め納得がいくまで質問するのが良いだろう。僕は、ビスポークと呼ばれるもので、とても素晴らしいものから、ゴミみたいなものまで見てきた。職人を選ぶときは慎重に。仮に、良い職人を見つけたとしても、求められるだけの費用や時間に見合った商品が得られるのか?

自身の身体に合った1着

オーダーメイドの衣服は、自分自身の体型や好みに合わせて、オリジナルを手に入れることができる。メイド・トゥ・オーダー、パターンオーダーやビスポークなど、様々な種類のオーダーメイドがあり、そのそれぞれに特徴がある。

オーダーメイドの衣服は、一度着用すると、自分自身にぴったりのフィット感を得ることができ、また、自分自身の好みに合わせたデザインや素材を選ぶことができるため、オリジナリティーの高い衣服を手に入れることができると言われる。

ただし、オーダーメイドの衣服は、既製服やオフ・ザ・ラックの衣服に比べて、価格が高い場合が多く、また、時間や手続きが必要になる場合がある。オーダーメイドを利用する際には、信頼できるブランドや職人を選び、自分自身にぴったりの衣服を手に入れることが大切である。

オーダーメイドの衣服は、自分自身のスタイルを表現するための方法の一つである反面、それをイメージするのが困難とも言える。オーダーする際は、ある程度経験を積まれている店員さんや職人さんに相談するのが良いだろう。